協会の活動状況・会員からの寄稿
SYMPOSIUM_1

アメリカ・イスラム・中国  新政権の日本外交を語る
9・11から5年——激動の国際情勢を多角的に分析


 先ほど、6 ヵ国協議が壊れると言われましたが、中国はいわば 6 ヵ国協議の主催者ということで外交の国際舞台に出てきた側面があります。その意味では、6 ヵ国協議を壊されるのは中国の面子にとって非常に大きな問題だろうと思います。こうしたなか、はたして中国は北朝鮮を説得できるでしょうか? あるいは、6ヵ国協議の継続という問題を中国はこれからどのように担保していこうとしているのでしょうか?

国分 とにかく「北が 6 者(協議)に戻るように」と中国に頼み込むしか方法はないと思います。また中国がどこまでできるかは、かなり難しい気がします。その間に実験でもされたら、完全にこの枠組みはおかしくなるということです。ただ、日本の政策にとっても 6 ヵ国協議は必要で、それは中国にとってもやはり共通だと思います。

 西川さんにお聞きします。国分さんからイランの話が出ましたが、核不拡散の下、核をすでに持っている核保有国はお咎めがなく、新しく持つ国に対してはいろいろとうるさいわけですが、今、イランと北朝鮮が本当に連動しているかどうかはともかく、タイミングも含めて“暗黙裡の連動”というのは考えられるでしょうか?

西川 そうだと思います。イランと北朝鮮は互いに“お互いを見ていく”という感じがしますし、また、それが冷戦後のひとつの特徴でもあると思っています。
 冷戦時代には、北朝鮮問題やイラン・イラク戦争、ソ連軍がいた頃のアフガン戦争などを見ても、ユーラシアで起きた出来事はそれぞれが個別的な出来事で、相互の関連性は基本的になかった。ところが冷戦崩壊後の大きな特徴として、核やミサイルを繋ぎ目にしてそれぞれの紛争が繋がってきている、ということがある。具体的な形で繋がっているというより、たとえば今はイランと北朝鮮の名前が出ましたが、パキスタンにしても、パキスタンと北朝鮮のミサイル・核技術の交換があり、あるいはミサイルをめぐっては北朝鮮とイラン、イランとパキスタンの関係等々、実はユーラシア大陸の紛争地域がミサイルや核などを通じて繋がり、連動し始めてきています。しかも、これが具体的な価値を見出し始めている。
 そういうことから、北朝鮮は「イランはどうやってアメリカと対峙しているか」とイランのやり方を参考にして自分たちの行動を決めようとしているし、一方、イランのほうも同じように北朝鮮の出方を見ていると思う。そうした意味では、北朝鮮だけを押さえ込めば問題が解決するというものではなく、大袈裟に言えば、ユーラシアにあるそれぞれの紛争を包括的に何かの枠組みで封じ込めるような方策でやらないと難しい、という印象を私は持っています。


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2006年12月4日(掲載)
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