協会の活動状況・会員からの寄稿

【報告】第3回トークの会 in 名古屋
 トークの会in名古屋も第3回の開催となりました。今回は東京からも参加者を迎え、学部生から一般の方まで幅広い方々にご参加いただきました。今回も内容の濃い報告と、それに負けない熱気あふれる議論が繰り広げられ、盛会となりました。


ラジャポフ・フサインさん(右)・ウミリディノブ・アリシェルさん(左)
 最初に話題提供をしてくれたのは、神戸大学の博士課程に在籍するフサインさんでした。競争を制限する共同行為の検討を目的とした「ウズベキスタンにおける課徴金減免制度の執行の諸問題」では、経済活動の自由を阻害するカルテルの数が多いにもかかわらず、ウズベキスタンでは他の違反行為と比べて発見事件数が非常に少ないという問題に対し、一つの解決策として、効果的なカルテル発見方法である課徴金減免制度(リニエンシー制度)を導入したことを紹介しました。ただし、これまでにリニエンシー制度に基づいて発見されたカルテル事件はなく、この制度の実用的な執行には問題があることが報告されました。この報告に続くフロアとの議論の中では、法律の改正過程の議論が参加者から紹介される等、活発な議論となりました。

 また、名古屋大学において、新たに刊行されるウズベキスタン法に関する論文誌の内容や理念をウミリディノブ・アリシェルさんからお知らせいただきました。海外を含めたウズベキスタン研究がますます進むことが期待されます。

 次に、特集企画として、ウズベキスタンの国民的格闘技である「クラッシュ」について、2つの話題が報告されました。


和崎聖日さん(左)・木村暁さん(右)
 中部大学の和崎聖日さんの報告「格闘大国ウズベキスタンのクラッシュと生活文化—日本との交流も含めて—」では、これまで日本であまり脚光を浴びて来なかった2点が大きくアピールされました。第1に、例えば柔道においてウズベキスタン代表選手が世界的な好成績をおさめており、ウズベキスタンが格闘大国であることが指摘されました。そして、同国が格闘大国である由縁は元来伝統遊戯として存在するが、ソ連時代に近代スポーツ化され、独立後に広く国際化した民族格闘技クラッシュにあることが紹介されました。第2に、この国際化したクラッシュ大会には、日本人柔道家のクラッシュ挑戦の歴史があることが紹介されました。最後に、このクラッシュ競技を通した日本とウズベキスタンの交流のいっそうの発展を祈願することで、和崎さんの報告は締められました。

 続いて、京都外国大学の木村暁さんから、 過去におけるウズベク相撲(クラッシュ)の競技としての様態、および、死後に聖者化されたヒヴァの相撲取り、パフラヴァーン・マフムード(1322年没)が後世に担った政治・社会的役割の具体相を歴史史料に依拠して跡づけた報告がなされました。木村さんは、ウズベク相撲では古くから学知と精神性が重んじられ、ゆえにこそ相撲が教育・修養の一手段としてウズベキスタンの社会生活のなかに深く根づいてきたとの見通しがえられたのではないか、と考察を述べられました。

 報告、告知、特集企画と盛りだくさんの内容でありながら、質の高い報告がそろい、ご来場の皆様には満足していただけたのではないかと思います。

(寄稿者:トークの会 in 名古屋(近藤 行人))

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