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 アラル海の縮小と付近住民の健康被害
 
   講師は実務家が中心です
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| 日本ウズベキスタン協会は昨年より「シルクロード・中央アジアクラブ」を立ち上げ、中央アジアの歴史、経済、文化、旅行などの広範囲に専門家をお招きして、お話を聞き、論議を通じて、自らの学びの場を設けることにしました。参加はどなたでも可能ですが、学習効果を高めるため、定員は40名です。
 第4回目は経済(環境問題、医療)です。講師は、分析中毒学・産業保健・環境保健がご専門の千葉百子先生です。
 
 【講演内容】
 中央アジアのカザフスタンとウズベキスタンにまたがるアラル海は、20世紀最大の環境破壊の実例といわれています。今回はこの問題を人体への影響を通してお話しいただきます。
 1960年以降、アラル海に注ぐシルダリア川とアムダリア川から綿花や穀物の栽培の為に大規模な灌漑用水の取水が行なわれました。その結果、アラル海は水位が下がり、海面面積の縮小が続いたため、魚は死滅し漁業ができなくなりました。また、同時に干上がった海底からは塩や砂、農薬が舞い上げられ、周辺の住民に深刻な健康被害を及ぼしています。
 2000年夏、最もアラル海東側に近いカザリンスク郡を Case 地域、約 500 km 離れた地域ジャナコルガ郡を Control 地域として、各約400名の学童の健康調査をに実施したところ、同一地域に住む同一年齢人口の約20%が貧血の罹患率(りかんりつ)が高値であったが重篤なものではなく、各村の病院長に母親への栄養指導を提案。2年後の Follow-up Studyではかなり改善されていました。
 同時に、この調査結果では腎臓機能障害も認められました。地元の医師は飲料水が原因ではないかというが、飲料水中の何が原因であるのかは解らないといいます。そこで飲料水検査を実施し、その結果に基づいて国としても飲料水対策を実施したものの、上水は有料であることから相変わらず井戸水、河川水を使っている家庭は多いのが現状です。
 また、呼吸機能検査では上部気道換気障害が下部気道換気障害より多かったことから一ヶ月ごとに浮遊粉じんを1年間集めて分析しました。浮遊粉じんの粒子径は2.5〜10μmが主で、成分分析をしたところ有機塩素系、有機リン系の残留農薬は健康障害を惹起するほどの濃度ではありませんでした。
 また、その後徐々に市場経済にも慣れ、生活もかなり向上してきていることから、健康状態は全体的に改善されてきています。
 
 【講師紹介】
 
  ■現職 順天堂大学医学部客員教授
 財団法人労働科学研究所特別研究員
 カザフスタン国立医科大学名誉教授
 中国ハルピン医科大学名誉教授
 パキスタンハムダード大学評議員
 
 ■経歴
 共立薬科大学(現慶応義塾大学)薬学部薬学科卒業
 田辺製薬(株)東京研究所、科学技術庁放射線医学総合研究所薬学研究部を経て順天堂大学医学部衛生学講座勤務(1968年〜2006年3月)
 国際医療福祉大学薬学部教授、大学院特任教授(2006年4月〜2011年3月)
 
 ■専門
 分析中毒学 産業保健 環境保健
 
 【講師著書】
 ■著書
 (分担執筆):コンパクト公衆衛生学 (朝倉書店)第4版 2008年
 衛生薬学−環境と健康− (廣川書店)2005年
 産業保健専門職のための生涯教育ガイド(財)労働科学研究所出版部 2005年
 管理栄養士全科のまとめ (南山堂)2005年
 ■辞書
 (分担執筆):レアメタル便覧(丸善) 2011年1月
 最新臨床検査項目辞典 医歯薬出版 2008年
 ■翻訳
 病気と健康の世界地図 丸善 2009年
 がんの世界地図  丸善 2009年
 
 ・第4回シルクロード・中央アジアクラブ概要
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| 日 時 | 2012年2月4日(土)14:00〜16:00 開場は30分前から
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| 会 場 | JICA地球ひろば401号室>>詳しくはこちらから 会場へのお問い合わせはご遠慮下さい。
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| 受講料 | 会員1,000円 非会員1,500、学生500円 |  | 申込方法 | 次の事項を記載したE-mailをこちらに送付してください(FAXの場合、03-3593-1406まで 1 件名
 第4回シルクロード・中央アジアクラブ参加
 2 本文
 ・氏名(複数名でのご参加の場合、ご面倒でも人数分の記載をお願いします)
 ・当会会員又は非会員の旨
 ・連絡先(複数名でのご参加の場合、代表者の方だけで構いません)
 
 ※ 電話(03-3593-1400)でもお申し込み頂けますが、事務局在局日並びに時間に配意下さい。
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| 2012年01月14日(新規掲載) |