協会の活動状況・会員からの寄稿

城西国際大学・東芝国際交流財団共催
第3回「国際講座2007」

テーマ: 変わり始めた国際情勢 ー 日本は世界に何を発信すべきか
講 師: 嶌 信彦(当協会会長)

 先ず、安倍政権の突然の崩壊 - 新総裁選 - 新政権の展望というホットな話題から話しを始め聴衆を惹きつけ本題に入りました。

 国際情勢はサミットのテーマが 70 年代の石油、80 年代のソ連にどう対抗するか、米ソ冷戦終了をどう終らせるか、90 年代のアフリカ等の内戦をどう治めるか、そして今はテロとの対抗と変遷していきました。

 軍事・経済力では、圧倒的に強かったアメリカの一極支配は、双子の赤字で経済力は衰え、冷戦終了と共に、終焉を迎えつつある。

 経済成長の流れで見ると、アメリカは冷戦終了によって、冷戦対策に掻き集めていた技術・情報を民間に放出し、IT 産業やバイオの世界でグローバルスタンダードを握って 4 〜 6 %の成長率を達成。

 ヨーロッパは制度体制を変え、国境の垣根を外し共通の貨幣で人の行き来を自由にする EU を構築した。7 億人の大市場ができた域内では安い賃金で物を作り 4 〜 6 %の成長率を得ている。イギリスはビッグバンをやり金融が銀行や関連企業を呼び込み、その結果雇用が増え、IT 投資、インフラ、 住宅、観光などの新しい実需を産んだ。 成長率も 4 〜 6 %と伸びた。

 その他にも安い労働力が売り物の中国の 12 〜 3 %、BRIC'S の 10 %、東南アジアの 5 〜 6 %、中南米の 4 〜 5 %と軒並み成長率は伸び好景気である。

 然るに日本の成長率は 1 〜 2 %である。これは、90 年に始まったバブル崩壊の影響が 10 数年も続き、成長率は零でも利益のでるようにとリストラ・合理化の体制を作り自社の建て直しに専念した為である。やっと落ち着き世界をみると、前述のように世界の好景気の中に取り残されていた。通貨も米ドル以外には安くなっていた。

 これを打開し成長を促すエンジンは何かと考えてみると、「 COOL JAPAN(カッコいい日本)」という世界が認めた文化があり、これを産業として確立すれば経済成長の大きな力になると思われます。典型的なものでアニメ・漫画、 ファッション、 和食、 観光、 環境技術などである。

 コンテンツ産業のアニメ・漫画は見て楽しむだけでなく思想・哲学も盛りこみ大人社会も取込んで世界中に多くの愛好者が増えている。 アニメを生み出した日本を見たさに訪ねる人の流れも次第に増えてきた。

 ファッションは、昔からの絹・木綿から化繊へと世界に受容れられている素材と世界が認めたデザイン力がある。

 和食は世界に 2 万店もレストランがあり健康食・美味しさ・安全さで受け容れられている。それは素材である米、野菜、果物、緑茶などを丁寧に作った農業の知恵・技術革新の結果である。そしてその素材も受容れられてきた。

 観光はこれ迄の桜を見る、美味いものを食べ歩くだけでなく、日本の多彩な伝統文化を紹介するコースを作り、インフラを改良し、何処の国の客にも対応できる受入体制・通訳ガイドを揃えれば訪日する観光客は増える。

 地球文明を良くする日本の省エネ・環境技術を世界は買いたがっている。これを ODA 、政府開発援助、排出権取引等にのせていけば大きな産業になる。

 このようないい財産である「クールジャパン」を経済戦略として活用し世界市場に結びつけるように考えてはどうか。それが経済成長を押し上げる要因になる素質は充分にあると思う。外貨獲得も桁違いに伸びる。産業化し世界に発信すべきと思う。

 豊富な例や冗談も交えた話を終え、最後に質疑応答も行われ多くの聴衆の拍手の中で終りました。

2007年12月23日(掲載)
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