中東イラク情勢が不安定な動きを続け国際政治や経済を巻き込む中で、NPO日本ウズベキスタン協会は、国際交流基金、毎日新聞、トヨタ自動車の後援を得てさる4月2日夜、東京都内の国際交流基金国際会議場で、「イスラム・アメリカ・日本——イラク戦争から世界を考える」というテーマでシンポジウムを開催しました。
2002年に協会が独自に開催したシンポジウム「9.11事件から1年——中央アジアから世界を読み解く」に続くものでしたが、タイムリーな企画だったうえ、下記のような有名なパネリストが顔をそろえたこともあって、開催前から問い合わせなどで関心度が高く、当日は定員の200人を30人もオーバーする大盛況でした。
シンポジウムは、ジャーナリストでニュースキャスターの嶌信彦協会会長を司会進行役にして、パネリストの伊藤芳明・毎日新聞編集局次長、五百旗部(いおきべ)真・神戸大教授、岸井成格毎日新聞編集委員、酒井啓子アジア経済研究所参事、紿田英哉国際交流基金理事の5氏で行われました。
まず、最大の関心事となっているイラク情勢をどうみればいいのか、とくに6月30日の主権移譲を前に米駐留軍がイスラム過激派の一掃を狙った軍事行動がイラク国内で反発を招きエスカレートする状況に事態打開の道があるのか、イスラム社会の反応はどうなのか、米大統領選を控えたブッシュ政権は国連、それに欧州やロシア、さらには日本などと対応を協議しイラク政策の転換を図る考えはないのか、といった問題から、日本はどういった対応を考えているのか——といった問題について、各パネリストとも、かなり踏み込んだ意見を述べ、問題が浮き彫りになりました。
また、今回は、ウズベキスタンを中心にトルコなど、イスラム圏の留学生にも声をかけて、特別参加してもらいました。それぞれの留学生は、パネリストの意見に耳を傾けていましたが、司会役の嶌会長から、感想や意見を求められた際には、しっかりとした受け止め方で意見を述べていました。
定員を大きくオーバーした会場では、午後6時半から2時間を超す長時間のシンポジウムだったにもかかわらず、熱心にメモをとる人が目立ちました。しかも、司会役の嶌会長の呼びかけに応じて、質問表が出され、パネリストがそれに答えるという形をおりましたが、鋭い質問が多く、関心の深さを改めて見せ付けました。
今回のシンポジウムの内容につきましては、関心も高かったことから、小冊子にまとめる予定でいます。現在、編集中ですが、完成すれば、ご案内しますので、ぜひ、お求めください。
ボランティアによる非営利活動組織であるNPOが、これだけのシンポジウムを開催できたのは、さまざまな関係者のご好意、ご協力によるものですが、今後、定期的に続けるようにがんばるつもりです。
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