協会の活動状況・会員からの寄稿
『素晴らしきウズベキスタンの人々』−ウズベキスタンふれあい紀行−

冷夏ともいえる東京からタシケントに着き、ストレートな日差しを浴びて、夏本来のエネルギーを感じ、急に身体が伸び伸びとしてくるようでした。

古屋君とフェルーザさんの結婚式に出席した翌日から、サマルカンドを彼らに案内してもらいました。

どこまでも真っ直ぐ延びるシルクロードの道をドライブしながら、のどかな田園風景や荷車を引くロバ、そして時折横断する牛の群れ、路上で売られている夥しい数のメロンやスイカ、また赤褐色肌の彫りの深い顔立ちの人々を飽かずに眺めていました。

コーカンドに向かう道は切り立った崖の山岳地帯と雄大な山並みの景色が延々と続きます。日が沈み始めると山々はピンクに染まり、やがて薄い藍色の幻想的な色彩に変わったかと思うと漆黒の闇。それは驚くほどの闇です。

まるでタイムスリップしたかのような悠久の大地や、その大地にしっかりと根を張った人々の暮らしに深い感慨を覚えます。しかし、今、思い出されるのはウズベキスタンの人々の素晴らしさです。今回、三軒のお宅にお邪魔させていただきました。

タシケント市内の家庭はビジネスマンのご主人と、英国に留学していたご長男を含めた折り目の正しい三人のお子さんと奥様が、心のこもったもてなしをして下さいました。

一日目ということで我々も緊張していていましたが、お台所を借りて、天ぷらやお赤飯を作り召し上がっていただきました。また、親戚のパーティー(総勢20人)に飛び入り参加させて頂き、楽しいひとときを過ごしました。

打ち解けてくると、弟が兄に甘えている姿や親族が非常に仲がいいことが見えてきます。ふと、昔の日本の姿を見ているような錯覚を覚え、懐かしさを感じました。

コーカンドでは古屋君が言語学の調査、研究に行くたびにお世話になっているご家庭にお邪魔しました。このご家庭はコーカンドの大学の教授宅ですが、その教授は数年前に亡くなられており、現在は奥様とお嬢様、お祖母さま、そしてステイしている学生数人と暮らしています。

ここでは庭でプロフ(中央アジアのピラフで特別な時に作る料理)を作って下さりましたが、それはかなり脂の少ない日本人向けの味付けで驚くほど美味しいものです。

テラスからは葡萄棚が見え、小さな菜園があり、鶏が自由に動き回り羊も飼っています。私はゆったりと流れる時間の中で夫人にいくつかの質問をしてみました。
「古屋君とフェルーザさんの結婚はもちろんおめでたいことですが、奥様はどのようなご感想をお持ちですか?」奥様は「二人の結婚は大変珍しいケースです。多くの問題もあるでしょう。しかし、将来、ウズベキスタン、日本、両国にとって大きな意味を持つことになると思います。それは、二人の結婚に留まらず両国にとって大きな影響をもたらすでしょうし、友好的な交流の可能性を広げることになると思います」とおっしゃいました。

私は静かに話す奥様の言葉に、深い意味を感じ取りました。古屋君は最初、コーカンドのホテルに滞在していましたが、今は毎回このお宅に泊めていただき、食事も出して下さっているそうです。いくら「お金をとって下さい」と申し出ても受け取って下さらないので恐縮しているそうです。

奥様は遥々日本から勉強、研究に来ている若者を心から支援してあげたいと思っているのでしょう。同行するフェルーザさんを娘のように目を細めて見ています。なんて意識の高い、真に教養のある方だろうと感じます。

我々が泊めていただいたコーカンドのご家庭も素晴らしい豪邸でした。あくまでも私たちをリラックスさせ、手作りの料理でもてなそうと心を砕いて下さいました。
出発日の朝の食事中、ご主人が「お昼にもう一度戻ってきて下さい。私も会社から戻ってシシカバヴを焼いておきます。ですから、今はさようならを言いません。必ず戻ってきて下さい」と言って下さいました。

私は最初、全泊ホテルの方が気を使わなくていいなあ、などと考えていたのですが今回、ウズベキスタンの人々と触れ合う旅ができて、どれだけ多くのことを学んだか計り知れません。東京に戻ってきてからも、彼らの顔が次々と浮かんできて温かな気持ちになります。

家族が仲良く、日々の暮らしを丁寧にしているウズベキスタンの人々。子供たちの屈託のない無邪気な笑顔も忘れられません。また、ボランティアなどと大上段に構えずとも、自然体でさり気なく他人を支援して行く姿に感銘を受けました。

時間に追われ、効率や利益に価値を置いている日本の生活が何か空しく感じ、本当に大事なものを教えられた気がします。中央アジアの国々のことをもっと知りたい。そして多くの人々にウズベキスタンの人々のことを教えてあげたいと強く思います。

素晴らしい旅ができたことを今も深く感謝しています。(寄稿者:大平 栄子)
 
2003年10月13日(掲載)
このページのトップへ移動する
© Copyright 2001 - 2024 The Japan-Uzbekistan Association. All Rights Reserved.
日本ウズベキスタン協会 〒105-0003 東京都港区西新橋1-17-1-3F TEL03-3593-1400 E-mail:jp-uzbeku@nifty.com
嶌信彦のホームページはこちら